年金を受給していても、年金だけで生活すべての支出をまかなうことは難しい話。
急な冠婚葬祭や怪我、病気など、突発的な出費とは無縁でいられません。急にお金が必要になったら、どのようにお金を工面すればいいのでしょうか。
年金受給後は収入が下がる人が多いため、現役時代に活用していた金融機関のローンなどが使い難くなってしまいます。
収入が下がる。でも、突発的な出費とは無縁でいられない。収入が下がったため、お金の工面が難しい。これが年金世代の実情です。
年金受給世代が金策として活用できる制度が「年金担保ローン」です。
年金担保ローンとはどんな借入方法なのでしょうか。利用条件や注意点について解説します。
年金受給者が借入できる年金担保ローンとは?
年金担保ローンとは、独立行政法人福祉医療機構が行っている「年金を担保にお金を貸してくれる制度」になります。
ローンという名前から一般の金融機関を連想しがちですが、消費者金融や銀行のサービスではなく、公的な機関の融資です。
世間的には「年金担保ローン」の名前で知られていますが、「年金担保貸付制度・労災年金担保貸付制度」が正式な名前になります。
年金担保貸付制度・労災年金担保貸付制度は、国民年金や厚生年金、労働者災害補償保険の年金などを担保に融資できることを法律で認められた制度です。
この点において、銀行や消費者金融のローンとは、性質が異なっています。
年金を担保にお金を借りることができる。
公的な機関の融資である。
まずは、以上の2点を明確にしておきましょう。
年金担保ローンはどんな時に借入できる?
年金担保ローンは次のような目的のために利用できます。
申し込みの時は、具体的な使用目的や使用金額がわかる資料が必要です。たとえば住宅改修をする場合、見積書などが資料になります。
・保健や医療、介護や福祉のためにお金が必要
・住宅改修などに資金が必要な場合
・教育や事業のためにお金を工面したい場合
・冠婚葬祭のための金策
・債務を一括で整理したいなどの場合
・生活必需物品の購入にお金が必要
年金担保ローンは、必要資金を工面するための支援制度です。そのため「旅行したいから旅行費を貸して」といった目的で利用することはできません。
年金担保ローンはいくら借入できる?
年金担保ローンでは、借りられる金額に条件があります。
基本は、年金担保ローンの申込者が必要とする額が限度。ただし、「1,000万円必要だから」と申し込んでも、ポンと1,000万円融資してくれるわけではありません。融資額に次のような限度があるからです。
・10万円~200万円の範囲内
・1回の返済額の15倍以内
・受給している年金の0.8倍
15倍以内や0.8倍といわれても、なかなか具体的な借入可能額がわからないはず。金額については、手続き前に独立行政法人福祉医療機構に相談しておいた方が安心です。
年金担保ローンを借入の条件は?
年金担保ローンは、名前通り「年金を担保にする融資」です。年金受給者が融資の対象。ほかにも、年金担保ローン借入のためのルールがあります。
・生活保護の受給中
・ギャンブルなどに使うのはNG
・年金の支給が全額停止されている
・同一年金で借入が残っている
以上のようなケースでは、年金担保ローンの借入はできません。
他にも細かいルールがあるので、申し込み前に独立行政法人福祉医療機構へ「借入が可能か」を確認しておくことをおすすめします。
年金担保ローン借入のメリットとデメリット!注意点も
年金担保ローンを利用する時は、他の融資サービスとも比較して検討することが重要です。比較検討するためにも、メリットとデメリット、注意点についておさえておきましょう。
年金担保ローンで借入するメリット
年金担保ローンのメリットは、公的な機関の融資なので借入に安心感があるという点です。
年金の受給がはじまると、利用できるサービスが現役時代より限られてしまいます。年金受給がスタートしても利用できるというメリットも大きいもの。
借入利息も低めに設定されているというメリットがあります。年金担保ローンの貸付利率は、平成30年10月3日時点で2.8%です。労災年金担保貸付は2.1%になります。
年金担保ローンで借入するデメリット
年金担保ローン借入のデメリットは、年金の受取額が減ること。年金から返済が行われるためです。
融資のお金を受け取るまで4週間程度の時間がかかるところもデメリットになります。要するに、即日融資はしてもらえません。
年金担保ローンで借入する注意点
年金担保ローンの借入では、連帯保証人が必要になります。
連帯保証人を立てたくないという場合は、保証制度を利用することも可能。保証制度の利用には保証料が必要になるため、注意が必要です。
また、独立行政法人福祉医療機構の年金担保ローンは、令和4年3月末で終了することが決まっています。
以降は年金担保ローンの利用ができないため、注意が必要です。ほかの借入制度としては、社会福祉協議会の「生活福祉資金貸付制度」などがあります。
年金担保ローンの利用は「金策」という広い範囲で見て決めよう
現金が必要。こんな時は、年金担保ローンでの借入もふくめて、広い範囲でお金の調達方法を考えることが重要です。最初から年金担保ローンに決めてしまうのではなく、ほかのお金の調達方法としっかり比較しましょう。
自分にあったサービスは何かよく考えて決めることで、よりサービスを有効活用できるはずです。